VPS
【VPSとは】
VPSとはVirtual Private Server(仮想専用サーバー)の略で、ここ数年の間に急速に広がってきたサービスです。複数のユーザーが1台のサーバーを使っている点では共用サーバと同じですが、仮想化という技術を使って専用サーバと同じような使い勝手で利用できるのが大きな特徴です。
例えるなら、専用サーバーの形態がを一戸建て、共用サーバーがマンションなら、VPSはビルのワンフロアを貸し切りにした感じです。ビルのワンフロアを貸し切るので、多少上下の階には気を使わなければいけませんが、それでも周りは誰もいないので、かなり自由に使うことができるわけです。
VPSは複数のユーザーで共有しているため、専用サーバよりもパフォーマンス面では多少劣りますが、それでもコストを抑えて自由に利用できるといった点では大きなメリットがあると言えます。共用サーバーでありながら専用サーバー並みのサービスが受けられるVPSは、コストパフォーマンスに大変優れたサービスと言えそうです。
VPSの仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。
仮想化技術には2つあります。ひとつはサーバーのハードウェアを仮想化する「ハードウェア仮想化」という方法です。「ハードウェア仮想化」では、仮想環境ごとに異なるOSを稼動させることができます。もう一つは、
OSレベルで仮想化する「OS仮想化(サーバー仮想化)」という方法です。「OS仮想化」では、すべての仮想環境で、同じ種類の同じバージョンのOSとなります。ただし「OS仮想化」には、メモリーやシステム領域の利用効率の面で優れているというメリットがあり、低コスト化にも寄与しています。
1台のサーバ内に仮想化された複数のサーバー環境がつくりだされることによって、各ユーザーは専用サーバと同じように管理者権限を持つことができます。その結果、OSや機能なども自由にカスタマイズができるようになります。VPSを起動させるOSとしてはFreeBSDが多く使用されているようです。Linux で動作するVPSもあり、Linux向けVPS基本ソフトとしてはSWsoft社のVirtuozzoが多くの欧米のサーバホスティング事業者で使用されています。海外では、NTTコミュニケーションズの子会社であるVERIOのVPSサービスが有名なようです。
静的なコンテンツで構成される一般的なサイトや、それほど多くのアクセスもない場合は共用サーバで十分ですが、大きなコンテンツを持っていたり、ユーザーからのアクセスが多いWebサイトを制作する場合は、コストと機能、管理者の有無などの点で、VPSは今後ますます魅力的な選択肢となっていくと思われます。
【VPSの機能】
① 自社ドメインのメール
共用サーバーや専用サーバーと同じく、VPSでも独自ドメインのメールアドレスを持つことができ、専用サーバー並みのパフォーマンスを発揮します。
② 外部にホームページを公開する
共用サーバー、専用サーバー同様に、VPSはホームページを作成し、外部に公開することができ、専用サーバー並みのパフォーマンスを発揮します。
③ グループウェアを活用したい
スケジュールの共有や情報の共有ができるグループウェアを活用する場合、少人数での利用ならばコスト的に共用サーバーで良いのですが、数百人規模で利用したいのであれば、専用サーバーやVPSにグループウェアをインストールして利用したほうがコストメリットが生じる場合があります。また専用サーバー同様、VPSならば、任意のグループウェアをインストールして使うこともできます。
④ ECサイトの構築してビジネスを展開する
簡単な物販のオンラインショップを構築したいというのであれば共用サーバーでも可能ですが、注文者の個人情報を預かるので、ユーザーと相乗りになる共用サーバーは避けたほうが無難です。データのバックアップや、SSLサーバー証明書、pマークやISO27001/ISMS認定の取得など、より厳密な情報セキュリティー対策が可能な専用サーバーが良いでしょう。また、独自のアプリケーションを利用する場合も専用サーバーやVPSが適しています。
⑤ 自社開発のアプリケーションをサービスとして提供する
メニューに用意されていないアプリケーションは利用することができます。ただしデータベースの利用など、ディスクI/Oが多発する場合は、VPSより専用サーバーのほうが適しているといえます。
⑥ マルチメディアコンテンツを配信する
VPSは動画や音楽などのマルチメディアコンテンツの配信ができますが、CPUやメモリーなどのリソースが保証されていない場合は、同一物理サーバー内の他の仮想環境の影響により、配信品質にバラつきが出る可能性があります。そのためVPSよりも専用のほうが適しています。
⑦ 管理者権限
VPSでは管理者権限をもつことができます。その結果高い自由度が得られますが、その代わりに、サーバーの管理や、セキュリティー対策も契約者が行う必要が生じます。
⑧ アクセスログを解析する
VPSではサイトの訪問者や履歴がわかるアクセスログ解析ができます。これは、マーケティングに大いに役立ちます。共用サーバーは、取得した生ログの保存容量や保存期間に制限がある場合が多いですが、VPSは専用サーバーと同様に、自由にログを取得することができるうえに、保存容量や保存期間も自由に設定することが可能です。
⑨ 複数のドメインを運用する
VPSでは、複数のドメインを運用することができます。
⑫ 大規模なデータベースを運用する
VPSでは、共有サーバーに比べて、大規模なデータベースを運用することができます。しかし、ディスクI/Oをソフトウェアで処理するため、専用サーバーと比べると処理速度の面で不利となります。したがって、大規模なデータベースを本格的に運用する場合は、専用サーバーが最も適しています。
⑬ 社員全員分のメールアドレスを発行する
VPSでは、作成可能なメールアドレスの数に制限がないため、好きな数だけメールアドレスを発行できます。
⑭ メールログを管理したい
VPSでは、情報セキュリティーや、メールによる情報漏洩、また、ウイルスメールの踏み台になったときなど必要なメールログの解析ができます。
⑮ 大量のメールを一斉送信したい
VPSでは大量のメール送信が可能です。
⑯ 指定のバージョンのPerlやPHPを使いたい
VPSでは、プログラミング言語の種類やバージョンを自由に構成して、プログラムの実行環境を用意することができます。
【VPSのメリット】
・共用サーバーに対して
① 自由度がある
共用サーバーと比べ、運用の面で自由度が大きいというメリットがあります。大規模なデータベース等の処理が行えたり、プログラムの動作テストも可能です。
② セキュリティの強化
それぞれのユーザーの使用領域は分断されており、基本的に他のユーザーの領域には関与できませんので、セキュリティの面でメリットがあります。Unix系OSにおいては避けるべきとされている0777等にアクセス権限を設定しても問題になりにくいとされています。
③ 他の使用者の影響の少ない
1ユーザーあたり使用可能なサーバのリソースが設定されているため、共用サーバで起こるようなプログラムの実行が遅くなるようなことや、サーバダウン等、他の使用者のリソース消費による自サイトへの影響が非常に少なくなります。
・専用サーバに対して
① 管理の簡略化
OSレベルのアップデートはサーバ管理者によって行われるため、専門的な知識が専用サーバーほど必要ありません。
② コスト
物理的なサーバを1ユーザーのために用意する必要が無いため、同等スペックの専用サーバのレンタルと比較すると一般に安価であると言えます。
③ サーバーの環境移行や障害発生時のリカバリーが容易
VPSでは、1つの物理的サーバで2つ以上の仮想サーバを起動することが出来る為、ファイルをコピーする感覚で引っ越すことができます。それにより、ソフトウェアの重大な変更を行う際には、実稼動中のウェブサイトに影響を与えることなくテストを行うことができたり、障害発生時のリカバリーが容易にできます。
【VPSのデメリット】
・共用サーバーに対して
① コストが割高
共用サーバーと比べるとかなり高い印象を受けます。共用サーバーというよりかは、専用サーバーに近い料金設定になっている事が多いです。
② 専門知識が必要
専用サーバーほど難しくは無いですが、やはり専門的な知識と技術が必要とされます。
③ 環境維持の必要性
共用サーバではサーバウェア及び各種モジュール類のアップデート、バックアップ等はサーバ管理者によって行われますが、仮想専用環境であるVPSでは、それらの作業を自分で行う必要があります。
・専用サーバーに対して
① マシン再起動が困難
1つのサーバに複数のユーザーが同居している為、範囲が1ユーザーに限定される障害が発生した場合、物理的再起動が困難になります。
② ハードウェアの自由度
VPSにおいてはサーバのハードウェアはユーザー間で共用のため、特定の目的に特化させたり、特定のソフトウェアを使用する等の目的で、ハードウェア環境を変更することは困難です。
③ 他のユーザーの存在
稀なケースでとして、他のユーザーによってハードディスク等に物理的障害が発生した場合、影響を受けることがあります。
④ リソース保証がない場合が多い
共用サーバーと同様に、1台の物理サーバーを複数の契約者で利用するため、仮想専用サーバー1台に割り当てられるCPUやメモリー、HDD容量などのリソースは、専用サーバーより少なくなります。
⑤ I/Oの処理速度にボトルネックがある
HDDやネットワークなどへのアクセスといったI/O 処理は、仮想化を担うソフトウェアで処理されるため、専用サーバーに比べると処理速度の面で遅くなります。また、物理的に1台のサーバーハードウェア上のHDDインターフェイスやNICを共有しているので、これらの性能が分割となり、大量のデータを扱うデータベースサーバーなどでは性能上の問題が生じる場合があります。